登場人物①[主人公(ヒロイン候補)]【キャラクター設定/会話&状況サンプル】:登場人物(名前、性別、年齢、職業、容姿、性格など)&登場品目(性質、能力、使い道など)。

●カーヤ(かーや)♀17歳。
呪術医[シャーマンドクター]。
共通語:会話○/読文○
ナトゥーラ語:会話○/読文○
精霊語[サイレント・スピリット]:会話○/読文?

 

ナトゥーラ族の末裔の一人。
褐色の肌をしている。
目は強い意志が込められた琥珀色の瞳(つり目)。
艶やかな黒髪は腰まで長く、一束に編み込まれたお下げ髪。
普段は真面目で沈着冷静。
ユニコーンが襲われそうになると熱いハートをみせる。
マーラ[マギサ]を憎んでおり、彼女の挑発に乗りやすく、冷静さを失う場合がある(今乗っている相棒の黒いユニコーン、バルシィ♂の妻ベリィと、その子ジルヴァ♂をマーラに殺された)。
精霊語[サイレント・スピリット]が話せるので、ユニコーンとも会話が可能。
弓の腕前は一級品。
鉈刀[ククリナイフ]も器用に操る。
パレセノン大陸(かつてこの土地はナトゥーラ族の言葉で、ヴィージャ・ダーラ(大いなる大地)と呼ばれていた)の先住民族
真っ青な空を思わせる塗料で、両頬に三本の線が並行に重なった模様の化粧を施している。
両耳にはターコイズの耳飾りをしている。
狼の牙を革紐に幾つも連ねた首飾りをしている。
不思議な柄の布を身に纏っている。
前頭部には、革製のヘッドバンドをしている。
そのヘッドバンドには、本物の一角獣[バルシィの子供、ジルヴァ]の角がついており、(初めて彼女に会った者は、本当に角が生えた人間に出会ったと錯覚する。本人は本物のユニコーンの角ではなく、イミテーションの只の飾りだと言っている)。カーヤがヘッドバンドを前頭部にすると、彼女の前頭部の中央から、黄金色のユニコーンの角が生えているように見える(ユニコーンの角は膠(にかわ)で、革製のヘッドバンドに貼りつけてある)。
ヘッドバンドに飾られたジルヴァの角は、大人の人間の拳二つ分を重ねたくらいの長さで、成獣のユニコーンに比べるとかなり短い。
ユニコーンの角は、重病人や重傷患者を治癒し、そして死者をも蘇らせることができる。
それは、カーヤの前頭部に頂いているジルヴァの黄金色の角も同様だが、彼女はこれまでまだ「回生の儀式」を行ったことはない。

 

《会話&状況サンプル》
【カーヤ♀17歳&カリュオン・ノヴァーク♂?歳】
カーヤは懐から、団栗(どんぐり)ほどの大きさの、金色の鈴が幾つも連なった革紐を、四つ取り出した。
その内の一つの、片方の革紐の端を口に咥え、逆側の革紐を左手の指先で摘まみ、右手首に器用に結びつけた。
続けて残りの三つの鈴も、それぞれ、左手首。右足首。左足首。の順にしっかりと結びつけると、ゆっくりと立ち上がった。
上体をゆらりゆらりと左右に揺らしながら、カーヤはカリュオンの遺体の前にゆっくりと歩いてゆく。
遺体に近づくたびに、涼やかな鈴の音が、辺りに鳴り響いた。
カーヤはカリュオンの前まで来ると、佇まいを正し、突然地面に両膝と両手をつき、横たわっている彼に向かって平伏した。
暫くしてふらりと立ち上がると、再び佇まいを正し、優雅にその場にいる皆に一礼したかと思うと、突如、精霊語[サイレント・スピリット]を詠唱(うた)いながら舞を舞い始めた。
美しくも情熱的な舞だった。
自らの生命を絞り出すかのような激しくも、衆目を虜にする見目麗しい舞。
カーヤの詠唱(うた)声は、山頂に流れる紫雲の海を照らし出す朝日のように優しく温かく、そして湧きたての清水の如く、凜と澄み切っていた。
時に天に両手をかざし、空を見上げて詠唱(うた)を唱いながら希(こいねが)う、そんな儚くも、切ない表情をみせる。
一同は、普段の冷静な彼女の佇まいからは想像もつかない激しい舞に、目を奪われた。
カーヤの全身からは汗が吹き出し、四肢を空(くう)に乱舞するたびに、激しくも涼やかな鈴の音と共に、甘いジャコウのような香りを伴った汗が辺りに四散した。
その鼻腔を虜にする芳しい香油のような汗の香りと共に、カーヤの周囲だけ異様に熱気が立ち込め、彼女自身、陽炎のように揺らめいているように見える。
そのむせ返るような甘い香りと熱気の中、カーヤの目は虚ろとなり、生気に満ちていたはずの琥珀色の瞳は光りを失っていった。
世界はカーヤを視ていたが、彼女の瞳には、美しくも醜く、優しくも残酷なこの世界は映し出されていなかった。
カーヤの瞳に佇むは、裸身の彼女自身。
やがてその姿は、黒い大輪の花弁を幾重にも広げた、蓮華の内に包まれ、カーヤの美しき琥珀色の世界にも漆黒の波紋が広がっていく。
だが、暗闇に満たされたその世界を照らす、小さき存在がそこにあった。
黄金色に光る、バンシィの子ジルヴァの角。
カーヤの前頭部に頂いた、人間の大人の拳二つ分重ねたほどの、短い聖獣[ユニコーン]の角は、光りを増し、その輝きは真っ暗な闇夜を切り裂き、彼女の世界を取り戻す。
カーヤの周りには、果てしない原野が広がっていた。
それは彼女の心象風景だった。
カーヤはいつの間にかその褐色の肌身(はだ)に、再び衣を纏っていた。
大草原を爽やかな風が吹き、生い茂った草花の海は、あちらこちらで波が走り、彼女の腰まで伸びた、一束に編み込まれた黒いお下げ髪を激しく後ろへ棚引かせた。
見上げれば蒼天は白雲を、地平線の向こうから次々と生み出し、その真逆の地平の彼方へと瞬時に送り出していった。
風が駆け抜ける原野の中、カーヤの目の前にカリュオンが立っていた。
カリュオンは彼女に背を向けていたが、微笑みを湛えて振り向くと、彼女の前に数歩進んで跪き、褐色の右手を掌(て)に取ると、その柔らかな甲に接吻(くちづけ)をした。
カーヤは一瞬驚いたが、彼女も晴れやかな笑顔を見せる。
それに応えるように、カーヤの前頭部に頂く短い黄金色の角が再び輝き、温かい光玉[オーブ]を生むと、一瞬にして巨大化し、彼女の心象風景を瞬時に呑み込んでいった。
気がつくと、カーヤは再びカリュオンの遺体の前で平伏していた。
両手両足首に飾られた金色の鈴たちは、その涼やかな鳴りを抑え、主人(あるじ)と共に地に伏していた。
しかしその平伏の姿勢は、最初のものとは違っていた。
互いの顔が近い。
当初一同は、カーヤが遺体(カリュオン)に接吻をしているのでは、と目を見張っていた。
よく見ると、彼女の前頭部にある一角獣[ジルヴァ]の角が、温かい光りを放っていた。

カーヤは遺体(カリュオン)の額の真ん中に、その穂先を優しく触(あ)てているのだった。
舞が終わり、鈴の音が鳴り止んでも、カーヤは遺体(カリュオン)に平伏しながら、詠唱(うた)を唱い続けていた。
そして皆、カーヤの詠唱(うた)声の意味がわからずとも、それが終わりに近づいていることを、彼女が唱う詠唱(うた)の調べの変化で感じ取っていた。
「回生の儀式が終わる……」
誰かがそう呟いた。
その場にいる者全てが、固唾を呑んで見守るしかなかった。